YANOITI · GINGER LIBRARY
生姜の栽培と収穫
バーク堆肥や肥料、自家製の発酵資材を使った土づくりから、生姜の生育と収穫まで。やの一果彩の実際の写真、収穫の作業動画、養分の働きを紹介します。
根茎で増え、葉でつくり、地下に蓄える
生姜は多年生の草本ですが、食用栽培では植え付けから収穫までを一年の作型として扱います。通常は芽をもつ種根茎を植え、葉を育て、新しい根茎を収穫します。花が咲くことはあっても、一般的な生姜栽培の増殖は種子播きではありません。
資料:University of Wisconsin:Ginger / ICAR–IISR(2015):Ginger
| 段階 | 株の中で起きること | 管理を考える視点 |
|---|---|---|
| 植え付け・萌芽 | 種根茎の芽が伸びる | 低温を避け、排水と種根茎の状態を確認する |
| 葉の展開・分枝 | 地上部が広がり、新しい芽・根茎が増える | 水不足と過湿の両方に注意する |
| 根茎の肥大 | 葉で作られた物質が地下部に蓄積する | 葉の状態、倒伏、根茎の露出などを観察する |
| 収穫 | 用途に応じた状態の根茎を掘る | 新鮮な食用、加工、貯蔵、種用で判断が異なる |
| 収穫後 | 呼吸・水分損失・芽の変化が続く | 乾燥、結露、低温、傷を抑える |
植え付けから収穫までの時期は、地域の気候、露地・施設の違い、品種、出荷する用途によって変わります。畑では、その年の天候と株の生育を見ながら管理します。
土と葉を育てる、やの一果彩の工夫
やの一果彩では、バーク堆肥や米ぬか、自家製の発酵エキスなど、文旦づくりでも使っている肥料・資材を生姜にも取り入れています。オーシャンペレットは、当園では生姜に使っています。土づくりと養分の両方を大切にしながら、おいしい生姜をお届けしたいと考えています。
バーク堆肥や米ぬかを取り入れた土づくり
根が伸びる土の環境を考えることから、生姜づくりは始まります。当園ではバーク堆肥や米ぬかなどの有機物を使い、カキ殻も取り入れています。有機物を取り入れる土づくりでは、養分だけでなく、水や空気を含む土の性質も大切です。
土づくりの基本:こうち農業ネット(2012年10月31日):土づくりの基本
自家製の発酵エキスも、手をかけて用意します
当園では、自家製の黒糖発酵エキスや乳酸カルシウム発酵エキスも使っています。文旦づくりと同じように、資材を自分たちで用意することも、栽培の工夫のひとつです。
文旦と生姜に使う、共通の資材を詳しく見る
当園では、次の肥料・資材を取り入れています。
- 堆肥・有機物など:バーク堆肥、米ぬか、カキ殻、みみずふん土「太郎100」、特殊菌体発酵肥料
- 肥料・ミネラル資材:総合ミネラル「宝素」、カルシウム肥料「S-Ca」、粒状 硫マグ25、粒状 PK改、メガツイン-P56
- そのほかの資材:にがり、二価鉄、リン酸カリ、乳酸カルシウム
- 自家製の資材:黒糖発酵エキス、乳酸カルシウム発酵エキス
それぞれの資材を取り入れながら、土と作物の状態を見て手入れを重ねています。
根のまわりには、みみずふん土も
生姜の植え付け穴には、みみずふん土「太郎100」を入れています。園主が病気の予防を目指す土づくりの一環として取り入れている堆肥です。
「太郎100」は株式会社豊徳が製造する、みみずふん土100%の堆肥。ミミズが有機物を食べてつくる「ふん土」を土づくりに生かした製品です。
製品資料:株式会社豊徳:みみずふん土「太郎100」 / 日本製紙グループ:みみずふん土「太郎100」。土づくりと病害管理についての参考資料は出典ページにまとめています。
生姜に使う、オーシャンペレット
当園の生姜栽培では、配合肥料「オーシャンペレット8-12-8」を使っています。作物に合わせた肥料選びも、生姜づくりの工夫のひとつです。
オーシャンペレットの製品表示・成分を詳しく見る
写真の製品と、公式の取扱い情報
袋には「8-12-8」「緩効性配合」と表示されています。マルハ産業の公式一覧にも、同じ「オーシャンペレット8-12-8」がペレット状の肥料として掲載されています。
「8-12-8」は何の数字?
肥料の袋に並ぶ数字は、一般に窒素・リン酸・カリの含有割合を表します。8-12-8は、窒素8%・リン酸12%・カリ8%を示す表示です。保証成分の詳しい内訳は、袋の保証票に記載されています。
窒素・リン・カリウムが植物の中で担う働きは、生姜の生育を支える養分にまとめています。
製品の確認:有限会社マルハ産業:有機肥料・オーシャンペレットシリーズ
表示の読み方:農林水産省(2026年1月):肥料の表示の手引き・保証成分量の記載例
文旦と共通の肥料・ミネラル資材
当園では、文旦と共通の肥料・ミネラル資材も生姜に使っています。実際に使っている資材の一部をご紹介します。





けい酸加里と特殊菌体発酵肥料も取り入れています
生姜づくりでは、けい酸加里も使っています。また、EM菌ぼかしを使って中温発酵させた肥料を、文旦と生姜の土づくりに取り入れています。養分を補う肥料と、有機物を取り入れる資材を組み合わせ、土と作物の状態を見ながら育てています。
けい酸加里の成分表示と、特殊菌体発酵肥料について詳しく見る
けい酸加里:袋に表示されている成分
当園で使っている袋には「園芸専用肥料」「細粒品」とあり、次の成分が表示されています。
| 表示成分 | 表示値(%) |
|---|---|
| く溶性加里 | 20.0 |
| 可溶性けい酸 | 34.0 |
| く溶性苦土 | 4.0 |
| く溶性ほう素 | 0.10 |
「く溶性」は、肥料の成分がクエン酸の試験液に溶ける性質を表す区分です。けい酸加里のメーカー資料では、根や土壌中の酸によってゆっくり溶け出し、その速さは温度や土の条件でも変わると説明されています。
溶け方の解説:開発肥料株式会社:けい酸加里のよくあるご質問。表の数値は、使用している肥料の袋に記載された成分表示です。
特殊菌体発酵肥料:EM菌ぼかしを使った発酵資材
袋には、EM菌ぼかしを混ぜ、中温発酵させた堆肥と説明されています。当園では、文旦でも生姜でも土づくりに取り入れています。
一般的な土づくりについては、こうち農業ネット(2012年10月31日):土づくりの基本もご覧いただけます。
生姜の生育を支える養分
食べる部分の「根茎」は、地下にある茎です。葉で光合成を行い、根から水や養分を取り込みながら育ちます。地下の根茎を育てるにも、地上の葉を支える養分が欠かせません。
| 養分 | 植物の中での働き |
|---|---|
| 窒素(N) | たんぱく質をつくる材料となり、葉や茎などの生育を支えます。 |
| リン(P) | 体内のエネルギーの受け渡しに関わり、根の発達などを支えます。 |
| カリウム(K) | 体内で起こるさまざまな代謝の調節に関わります。 |
| カルシウム(Ca) | 細胞の膜や、根・芽の先の成長に必要です。 |
| マグネシウム(Mg) | 葉緑素を構成し、光合成を支えます。 |
このほか、硫黄や、鉄・マンガン・亜鉛などの微量元素も必要です。土にも養分があるため、肥料は多ければよいというものではなく、土の状態と養分のバランスを考えることが大切です。
養分の一般的な働き:University of Florida IFAS:Understanding Soil Fertility from an Urban Grower Perspective。植物の生育に必要な養分の役割を紹介しています。
6月の若い株:2017年の記録

畝に沿って並ぶ若い株が、葉を広げています。葉でつくられた光合成産物は、地上部の生長や地下の根茎の発達を支えます。
5月:畝と若い地上部

5月の畑では、畝の上に伸び始めた地上部が見えます。これから葉が増え、株が広がっていきます。
6月:列になって葉が伸びる

細長い葉が広がり、畝に沿った株の列がはっきりしてきます。葉は光を受け、根茎の生育に使われる物質をつくります。
夏の乾燥を抑える、木の皮のマルチ
やの一果彩では、7月頃に生姜の茎のまわりへ木の皮を約10cmの厚さでたっぷり敷いています。土の表面を覆い、乾燥や急な水分の変化を抑えることを目指した、夏の畑の手入れです。
マルチと土の水分・土壌生物の関わりを知る
マルチは、土の表面を資材で覆う方法です。有機物のマルチには、地表からの水分の蒸発を抑える働きがあります。また、樹皮などの有機物は、菌類や細菌などの土壌生物によって徐々に分解されます。
生姜は生育中の水分が大切で、排水のよい土も必要です。マルチの厚さや水の管理は、資材の粗さ、天候、畑の排水性に合わせて考えます。
一般的な栽培・マルチの働きの参考:Texas A&M AgriLife Extension:Ginger / Oregon State University:有機マルチの働き(樹木・低木向けの解説)
8月:根茎と根を観察

太く枝分かれする根茎の周りに、細い根が広がっています。根茎は養分などを蓄え、根は土から水や養分を吸収します。地下部には、この二つの異なる働きをもつ器官があります。
11月:収穫と根茎の姿


JA高知県の土佐市の産地報告では、露地の囲いしょうがの秋の集荷時期は10月下旬~11月下旬とされています。施設栽培の新しょうがは別の出荷時期をもち、高知の生姜は栽培方法に応じて各季節に出荷されます。
資料:JA高知県・ALIC(2024年6月):高知県土佐市のしょうが

収穫の作業風景を動画で見る
畑での収穫から、掘り上げた生姜を整え、運ぶまで。やの一果彩の作業風景を、約44秒の動画にまとめました。
掘り上げてから食卓まで

当園では土付きの生姜を扱い、フィルムの口を軽く折る形で梱包しています。根茎を傷つけないこと、乾かしすぎないこと、結露を放置しないことは、収穫後の扱いでも大切です。
今季のお届け予定・受付状況は、商品ページでご案内しています。
栽培中に気を付けたい病害
生姜の栽培では、根茎腐敗病や青枯病などに注意が必要です。葉の黄化、株元の軟化、根茎の変色など、地上部と地下部の様子を合わせて観察します。似た症状の病害があるため、原因の判断には栽培経過や診断情報が役立ちます。防除は地域の指導と最新の農薬登録に従います。
生育中の症状も、部位ごとに記録する
葉の黄化、葉先や葉鞘の褐色部分、根茎の切り口など、過去の観察写真を病害ページにまとめています。部位ごとの症状と、主な病害の特徴を詳しく紹介しています。















