高知県土佐市 宮ノ内 ・ やの一果彩
おいしさを育てる、3つのこだわり
やの一果彩の土佐文旦が、おいしい理由。園主が毎日続けている3つの仕事をご紹介します。
こだわり 一
おいしさに、完成はない。——園主の想い
1995年の春、私はこの園で文旦づくりを始めました。最初にあったのは、自信ではなく疑問です。受け継いだやり方は本当にこのままでいいのか。一つひとつ見直し、資料を読み、自分の畑で確かめる。32年目のいまも、手元にあるのは完成した答えではなく、毎年描き直し続けている園の設計図です。
今日よりも明日、今年よりも来年。
畑は毎年、新しい課題をくれます。難しいほど燃えるのが私の性分。少しでもおいしい文旦を、味をわかってくださるお客様へ直接お届けしたい——その一心で、学ぶことと見直すことをやめません。この想いが、一玉の味をつくっています。
園主が育てた文旦を見るこだわり 二
おいしさは、土から。——堆肥を運び、根を育てる
毎年、収穫を終えると、山の段々畑へ堆肥を運び上げます。斜面への運び入れは大変な仕事ですが、次の実りはここから始まります。カルシウム源になるカキ殻も取り入れて、木を支える根の環境を整える。除草剤は使わず、4月・6月・8月・10月の年4回、手間をかけた草刈りで園地を守ります。
さらに2週間に1度、黒糖発酵エキスやにがりなど食品にも使われる天然素材を、園主自身が配合した葉面散布で、葉から木を元気に。土と根と葉——見えないところにかけた手間が、春の花になり、冬の一玉になります。
文旦づくりに使う肥料と、土づくりの資材
毎年の土づくりに、何を使っているのか。やの一果彩では、バーク堆肥やみみずふん土、カキ殻などを取り入れています。木の育ち方と季節に合わせて、土から、葉から、必要な養分を補うことを大切にしています。

土づくりに取り入れている堆肥です。

園で黒糖を発酵させて仕込んでいる、自家製の液肥です。文旦づくりに取り入れています。

園で発酵させている様子。資材を自分で仕込む工程もあります。
カルシウムやマグネシウムなどを補う肥料も使い分けています。また、黒糖発酵エキスや乳酸カルシウムの発酵資材は自家製。にがり、二価鉄、リン酸カリなども取り入れ、生育段階を見ながら施肥や葉面散布に取り組んでいます。

文旦の栽培に取り入れているミネラル資材です。

EM菌ぼかしを使って中温発酵させた肥料を、文旦の土づくりに使用しています。

マグネシウムを補うために使っている肥料です。
使っている肥料・資材を、さらに写真で見る

文旦の栽培にも使っている土づくりの資材です。

袋を開けたところ。園で実際に使っている資材の記録です。

当園で使用しているカルシウム肥料です。

文旦づくりに使用している資材の一つです。

こちらも当園の栽培に取り入れています。

光合成を支えるマグネシウムの補給を大切にし、ミクロネオエキスを使っています。

ホウ素を含む資材です。文旦の栽培にも取り入れています。
写真は、園で実際に使っている資材を撮影したものです。このほかにも、カキ殻などの資材や有機質肥料を取り入れています。木の育ちや季節に合わせて、一つひとつを選び、組み合わせる。一玉のおいしさは、日々の土づくりから。
土づくりと養分の役割を知る
堆肥などの有機物は、土の性質を整えるために使われます。資材によって含まれる成分や働き方が異なるため、それぞれの特徴を踏まえることが大切です。高知県「土づくりの基本」
植物にとって、窒素はたんぱく質などの材料、リンはエネルギーの受け渡し、カリウムは代謝の調節に関わります。カルシウムは細胞膜や根・芽の生長に関わり、マグネシウムは葉緑素の構成成分になります。フロリダ大学IFASの植物栄養の解説
ここで紹介するのは植物栄養の一般的な役割です。園での資材選びや仕込みの写真と合わせて、文旦づくりの背景をお伝えしています。
こだわり 三
収穫してから、もうひと仕事。——30日以上の低温熟成
収穫したての文旦は、酸味がきりっと強め。当園では専用の冷蔵庫で温度と湿度を管理し、30日以上かけてゆっくり追熟させます。酸味の角が取れて、甘みと香りが調和した味わいになってから、お届けします。
食べ頃を迎えてからも、季節や果実の状態に合わせて貯蔵温度を調整。出荷のたびに園主が一玉ずつ状態を確かめます。爽やかさと、まろやかに整った風味を、5月ごろまで。収穫後も手をかけて、文旦を楽しむ季節をつなぎます。
土佐文旦の研究では、貯蔵中に果皮の香り成分「ヌートカトン」が増えることも報告されています。香りの変化についての研究を見る(英語)
熟成を待って届く贈答用を見る




