YANOITI · GINGER LIBRARY
生姜の病害と症状
葉の黄化、葉鞘の褐変、根茎の変化など、生姜の生育中に見られる症状を写真で紹介します。高知県の資料をもとに、主な病害の特徴と観察のポイントを解説します。
症状を観察するポイント
葉が黄色い、葉先が茶色い、根茎に変色がある。これらは観察できる状態ですが、写真だけで原因や病名が一つに決まるとは限りません。似た症状を示す病害や、生育環境による影響を区別する必要があります。
| 区分 | 観察・確認する内容 |
|---|---|
| 写真で見えること | 変色した部位、斑点の形、株の中での広がり。 |
| 一般的な病害の解説 | 病原の種類、症状が現れる部位、病気の進み方。下記の解説は高知県の資料に基づきます。 |
| 病名の確定 | 発生の経過、栽培環境、現物の状態、必要に応じた病原の検査。 |
掲載写真は2017~2022年に撮影した4例の観察記録で、病名はいずれも未確定です。病害の一般解説と合わせて、症状を見るポイントを紹介します。
葉の観察:黄化と褐色になった部分

緑色の葉の中に、黄色くなった葉が見られます。黄化とは葉の緑色が薄れ、黄色く見える状態です。観察では、どの葉から始まったか、萎れを伴うか、株元や根茎にも変化があるかを確かめます。

葉先や葉の縁に褐色部分があり、その周囲には黄色みを帯びた部分が見られます。褐変を観察するときは、葉先・縁・中央のどこから広がるか、ほかの葉にも同じ変化があるかを記録します。
葉鞘と根茎の観察

地上部の葉鞘に、縦に伸びる褐色部分が見られます。葉鞘は葉の基部が包み込む部分で、重なって偽茎をつくります。色に加えて、水がしみたような状態や軟化の有無、変化の広がり方も観察の手掛かりになります。

根茎を切って、内部の状態を確認している場面です。切り口では、表面だけでは見えない色の変化や組織の状態を観察できます。診断には、切る前の外観と切り口の両方を記録しておくと役立ちます。
代表的な6つの病害:公的資料による特徴
主な病害の病原と症状の特徴を紹介します。外観が似る病害の診断には、株全体の状態や発生経過、必要に応じた検査を組み合わせます。
根茎腐敗病(こんけいふはいびょう)
高知県の台帳ではPythium属による病害として説明されています。株元に水がしみたような褐色部が現れ、軟らかく腐敗し、葉が黄化することがあります。新しくできた根茎や根にも影響し、土壌・種根茎・水を介した広がりが問題になります。青枯病と外観が似る場合があり、葉の黄化だけでは区別できません。
青枯病(あおがれびょう)
細菌による病害です。下の葉から黄化や萎れが進み、株元が軟化することがあります。根茎腐敗病と似た姿になるため、株全体・株元・根茎の状態と診断情報を合わせる必要があります。「青枯」という病名でも、ショウガでは黄化が見られる点に注意します。
資料:高知県:ショウガの青枯病
立枯病(たちがれびょう)
Fusarium属による病害で、葉の黄化・褐変と、根茎内部の維管束の褐変などが資料に記載されています。進行すると内部が空洞化する場合もあります。
資料:高知県:ショウガの立枯病
白星病(しろほしびょう)
葉に小さい灰白色の斑点が生じ、複数の斑点がつながって不規則な形になる病害です。資料には病斑上の小さな黒い構造も記載されています。病斑の大きさや形、中央部の状態が観察のポイントです。
資料:高知県:ショウガの白星病
赤枯病(あかがれびょう)
ファイトプラズマによる病害で、葉の縁からの黄化や退色、根茎のしわなどが報告されています。葉と根茎の両方に現れる変化を観察します。
資料:高知県:ショウガの赤枯病
紋枯病(もんがれびょう)
Rhizoctonia solaniによる病害です。葉鞘などに灰緑色~褐色の病斑ができ、形が広がり、中央が淡くなることがあります。病斑の形、色、広がり方を記録します。
資料:高知県:ショウガの紋枯病
ほかの病害・生理障害を調べる入口:高知県のショウガ病害虫・生理障害台帳。
原因を確かめるために残す記録
- 撮影日と、症状に気付いた日を分けて記録する。雨やかん水の前後、急に広がったかも控える。
- 畑全体、株全体、葉の表裏、株元、根茎の順に、位置関係が分かる写真を残す。
- 下の葉か上の葉か、一株だけか列や低い場所にまとまるかを記録する。
- 根茎は表面と切り口を区別し、元の種根茎か新しい根茎かも分かる範囲で控える。
- 農業改良普及所などに相談し、写真に加えて経過・栽培条件・必要な診断結果を照合する。
診断結果と発生の経過を記録しておくと、次の作期の管理にも役立ちます。薬剤は診断に基づいて選び、使用時の最新の農薬登録と地域の指導に従ってください。
症状を見つけたときの対応
葉が黄色くなったとき
葉の黄化には、病害、生育時期、栽培環境など複数の要因が関わります。黄化が始まった位置と時期を記録し、萎れや株元・根茎の変化も合わせて確認します。
写真を使って専門家に相談する
写真は症状を記録し、専門家に相談する際の助けになります。似た症状を区別するには、発生の経過や栽培環境、現物の観察、検査が必要な場合があります。
掲載している観察写真の時期
2017~2022年に当園の畑で撮影した記録です。撮影年と症状を各写真に添えています。





