YANOITI · GINGER LIBRARY
生姜の内部組織
食べる根茎を切ると、肉眼では一続きの中身に見えます。顕微鏡では外側の保護組織、貯蔵する細胞、物質を運ぶ維管束などを区別できます。
外側から内側へ
下の顕微鏡写真は、インドの品種「Ashwathy」の根茎を染色して観察したものです。外側の保護組織から内側の維管束や貯蔵細胞まで、根茎のつくりをたどれます。出典はChittaragiらによる2022年の研究、図4です。

組織名と図中の略号
| 日本語・英語 | 図の略号 | 位置と読み方 |
|---|---|---|
| コルク層/cork | ck | 外周を保護する組織。図Dで層状に並ぶ細胞が見えます。 |
| 皮層/cortex | ct | 内皮より外側に広がる領域。柔組織や維管束などを含みます。 |
| 内皮/endodermis | end | 皮層と内側の領域の境界に位置する細胞層。図B・F。 |
| 内鞘/pericycle | perc | 内皮の内側に接する組織。図B・Fに表示。 |
| 中心柱/stele | 中央領域 | 内皮より内側の領域。柔組織の中に多数の維管束が散在します。 |
| 皮層の維管束/cortical bundle | cb | 皮層内にある維管束。 |
| 中心柱の維管束/stelar bundle | sb | 中心柱側にある維管束。 |
| 木部の道管/xylem vessel | xv | 維管束の中で水などの輸送に関わる部分。図E・G。 |
| 師部/phloem | ph | 光合成産物などの輸送に関わる組織。 |
| 繊維/fibre | f | 厚い細胞壁をもつ支持に関わる細胞。図Eなど。 |
| 柔組織/parenchyma | 周囲の細胞 | 根茎の大きな体積を占め、貯蔵にも関わる組織。 |
| でんぷん粒/starch grain | sg | 細胞内の貯蔵物質。図Iで粒として観察。 |
| 含油樹脂細胞/oleoresin cell | oc | 分泌・貯留する内容物が観察される細胞。図H。 |
| 油滴/oil globule | og | 油状の内容物。図Hに表示。 |
A~Iを順に読む
- A:根茎断面の全体像。まず外周と内側の広がりを見ます。
- B・F:皮層と中心柱の境目。内皮と内鞘の位置を追います。
- C:中心柱の中。維管束が散在する様子に注目します。
- D:外周のコルク層。
- E・G:維管束の拡大。木部・師部・繊維の位置を見ます。
- H:含油樹脂細胞・油滴。
- I:でんぷん粒。
顕微鏡像の比較では、拡大率だけでなく各写真のスケールバーを使います。同じ画面幅に表示した二つの画像でも、実際の大きさが同じとは限りません。
台所の「皮」「筋」との対応
生姜の表面には保護組織があり、その内側には貯蔵や輸送を担う組織が広がっています。調理で表面をこそげる場合と、包丁で厚くむく場合では、取り除く組織の範囲が変わります。
筋っぽい食感には、繊維性の組織やその配置、成熟度、切る方向、調理方法が関わります。繊維を断つ方向に切ると、筋を短くできます。栄養成分表の「食物繊維」は食品分析で測定される成分で、組織の観察とは異なる角度から生姜の特徴を表しています。
品種や貯蔵による組織の変化
根茎は収穫後も生きており、貯蔵中には芽や組織の状態が変化します。この研究では、貯蔵した種根茎を顕微鏡で観察しています。組織の姿には品種、採取する位置、成熟度、貯蔵条件による違いがあるため、写真の説明と試料の条件を合わせて読むと理解が深まります。





